こども哲学ハンドブック 自由に考え、自由に話す場のつくり方[書影]
ジャンル
教育、哲学、コミュニケーションスキル

基本情報

こども哲学ハンドブック
自由に考え、自由に話す場のつくり方 4刷

特定非営利活動法人
こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ 【著】

ページ数:120ページ/本文2色
価格:1600円+税
判型:B5判変型並製
ISBN:978-4-910024-00-4 C0037

内容紹介

簡単には答えがでないことについて、子どもたちが自由に考え、自由に話し合う「こども哲学」が、地域や学校で開催されるようになってきました。本書は、こども哲学やおとな哲学(哲学カフェ)をはじめるとき、その実践にあたって、必要な<対話の場のつくり方><対話中の考え方のこつ><進行役の技法>などを身につけることができる入門書の決定版です。まずは、最初にどのようにすればいいのかよくわからないとき、やり方を身につけるときは、方法論や技法を知ることは大事なことです。ぜひ本書を使って、家庭や地域、学校でこども哲学を楽しく行なっていってください(また、おとな同士で哲学カフェを行なう時も本書は使えます)。また、NHK・Eテレで大好評の子ども向け哲学番組「Q~こどものための哲学」の監修を著者の理事が監修しました!現在もNHK for Schoolののウェブサイトから全話無料で視聴ができます。
https://www.nhk.or.jp/sougou/q/?das_id=D0005180281_00000

*こども哲学については、本書でも取り上げられている「こどものための哲学」 という動画がありますのでご覧ください。
この動画は、立教大学SFR研究プロジェクト「死生観と道徳性の生涯発達 における対話の効果についての研究」の一環で制作されました。こちらをクリックください。

こども哲学の評価

  • 学校教育の場でも、これからは正解を覚えることよりも、答えを導き出したり、自分の意見がどうして正しいと思うのかを説明できたり、ほかの人と意見を交換できるようになることが求められています。
  • 子どもの哲学を繰り返し実施したお子さんには、考える力がつくことはすでにいろいろなデータと研究から実証されています。しかし子どもの哲学の本当の重要さは、さまざまに異なる背景を持った人たちと一緒の集団を作れるようになることです。(あとがきよりー河野哲也・立教大学教授/アーダコーダ副理事)

目次

  • プロローグ こどもの謎と出会う
  • CHAPTER1 事前準備
  • CHAPTER2 こども哲学の進め方
  • CHAPTER3 問いを深めるコツ
  • 附録1.初回のための台本づくり
  • 附録2.とあるファシリテーターのお悩み
  • 附録3.実践事例(未就学児の場合/小学生の場合/中高生の場合)
  • 参考書籍、こども哲学・哲学対話の情報

著者について

こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ

アーダコーダは、正解のない問いについてグループで考える哲学対話を社会の中で実践的に活用するためのスキルやプログラムを提供するNPO法人です。こども哲学を実践し、関連する著書を多くだしている理事が在籍する団体です。

書評・ブックレビューなど

週刊新潮2022年6月30日号 ベストセラー街道をゆく!

「哲学」というと、なにやら専門知識の必要な分野をイメージするかもしれない。だが近年、世界各国で導入されている「こども哲学」が重きを置いているのは知識の習得ではなく探求の部分。簡単には答えがでないことについて、あくまで対話を通じて考えを深めていく活動を指す。そのためには、子どもたちが自由に考え、自由に話し合うための場の設定がまずは重要になってくる。
そんな中、読者から「まさに今読みたかった本」と熱い支持を受けるのが『こども哲学ハンドブック』(現在三刷)だ。2019年の発売以来、教育関係者のみならず多方面から注目を集め、着実に版を重ねている。アクティブ・ラーニングといった言葉を持ち出さずとも、議論を通じて能動的に考えることの大切さについては万人が認めるところだろう。「ところが肝心のやり方や進め方がわからない、という人がとても多かった」と担当編集者は語る。
「どうにかしてそのメソッドをわかりやすく体系化できないだろうか、著者が開催する養成講座の内容をベースにして試行を重ねた結果、本書のような姿になりました」(同)
ページをめくると、事前準備から当日の進め方、ファシリテーター(進行役)の心構えまで、「こども哲学」の実践に必要な事柄が、図表やイラストに加えてふんだんな具体例と共にわかりやすく整理されている。あくまで実用を想定した頼もしいつくりだ。中でも刮目すべきページのひとつが「「わからない」を見つける7つの項目」だ。
「こども哲学では、相手を説得することよりも、自分や誰かの「わからない」を見つけることや、新しい視点を提示することのほうが重要なんです。対話を閉じることなく深めていくための質問の例を解説したページですが、本書のエッセンスが詰まっている部分でもありますね」(同)
そもそも日本では、これまで対話の場が十分に確保されてこなかったという経緯がある。「こども哲学の目的は、異なる背景を持った人たちが異なったまま、一緒に生きていく力を身につけることだと思っています」(同)――まさに今この社会に最も必要なものだろう。

読売新聞 2019年10月27日・書評欄
大人が見過ごしていることに、こどもが気づき、それを大人に問いかけ、「なぜなぜ」の連続で、大人を往生させる。
哲学の問いは「謎」の構造を持っている。「謎」とは、答えがたくさんあり、しかも答えがさらに多くの問いかけを生んでいく。問題の中にさらに多くの問題が隠れていることに気づいて、世界が豊かになっていく。(略)本書では問いを立てて、みんなで語り合う具体的な方法が書かれている。楽しくて実践的で、しかも新鮮な哲学書だ。哲学する「こども」がたくさん増えることを願う。

『教育』2020年1月号・書評
こどもとおとながともにつくる
こども哲学とは、正解がない問いについて、こどもと対話によって探求する活動をさす。哲学を「勉強する(studying)」より「哲学する(doing)」ことに力点をおいたところに特徴があり、近年急速にさまざまな場で広がりつつある。
この活動がいま注目を集めているのには二つの理由がある。一つは、市民の間で活発に展開されている哲学カフェ(哲学対話)の活動とのつながりとして。
そして二つ目が重要だ。学校教育での「特別の教科 道徳」始動にかかわって、「考え、議論する道徳」を中心とする「主体的・対話的で深い学び」を逆手にとって、この「こども哲学」を実践することで、道徳教育の「つくり直し」が可能になるかもしれない。その「道筋」からみていくことで、こども哲学のより豊かな展開が期待できるというわけだ。
本書は、こども哲学の「理念」と「方法」がコンパクトにまとめられており、「やってみよう」という思いに導いてくれる。
まずはスタートすること。きっといままでと違った世界が見えてくるはずだ。
(神原昭彦/教育科学研究会常任委員)

Amazonカスタマーレビューファシリテーション本としても秀逸こども向けの場づくりだからこそ、本質的なことがわかりやすく丁寧にまとめられています。
おとなの場づくりにもとても役立つ内容になっています。
入門書であり、実践書でもあります。
いくら本で学んでも、自分が実践しなければわからないことが沢山ありますから。
自分がやってみることの大切さが書かれていることに共感しました。
特に良かったのが、わからないを見つける7つの質問です。
1)「〜ってどういう意味ですか?」
2)「なぜそう思うの?」
3)「例えば?」
4)「それってほんとう?」
5)「いつでもそうかな?」
6)「この意見の根っこにはどんな考えがある?」
7)「もしそうだと、どうなるかな?」
自分を深掘りするのが哲学だと改めて思った。Amazonカスタマーレビュー

ここには、「こども哲学」を行う上での極めて具体的な手順が書かれています。
大人たちは子どもたちを前にして、ともすれば「正解」を出すことだけを求めてしまいがちですが、誰かが準備した「問い」に答えることだけではもう足りないということに多くの人が気付き始めています。今、私たちに必要とされているのは、自分自身の存在が世界に対してどれだけ魅力的な「問いかけ」となれるか、ということなのではないでしょうか。
その意味では、「こども」の視点で「なぜ?」に導かれるこの「こども哲学」という営為にとても関心がありました。
そして、このハンドブックによって、こども哲学の方法論はオープンにされ、至る所で同時多発的に展開されることが可能になりました。
このこども哲学の魅力のひとつは、「このようでなければならない」という「型」を外れることを恐れてはいないという点です。これからみんなで作っていこうという声が聞こえるようです。やがて子どもたちが「人狼ゲームしようぜ」っていうノリで、「こども哲学しようぜ」って言いだすかも知れません。

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