「社会的インパクト」時代の新しい「評価」の手法 ~参加型評価のすすめ 1

いま、NGO/NPOの非営利活動や、ソーシャルビジネス、企業のCSR(社会的責任)活動などで「評価」が注目されています。たとえば、「社会的インパクト」評価への関心の高まりがその一例です。

日本において環境問題、福祉・教育など社会的課題が深刻化し、行政や市場原理だけでの解決は難しくなっています。そして、解決の担い手であるNGO/NPOやソーシャルビジネスは、財源(寄付や社会的投資)をどのように使っているか、また生み出す変化(社会的インパクト)は何なのかを把握し、わかりやすく発信することが求められてきています。つまりNGO/NPOなどは、活動をやりっぱなしではなく、どのような成果が出ているのか、出ていないのか、現状をちゃんと確認・検証(=評価)しましょうということなのです。

私はNGOの活動で、ネパールでの植林・農村開発に長くかかわってきました。その中で、NGOの活動における「評価」の重要性を痛感しました。なぜなら、活動の現場で問題に直面した際、「評価」を行なうことで、問題を解決できることがわかったからです。

また、このように問題を解決する(=活動を改善する)ためには、専門家による従来型の評価(専門家だけで点数をつける評価)ではなく、スタッフや住民(受益者)など、プロジェクトの関係者が評価に参加する「参加型評価」が有効だということも実感しました。

「評価」という言葉には、「他人から点数付けされる」というネガティブなイメージがあります。確かに、専門家によって行なわれる従来型の評価では、そのような傾向があります。

これに対して、参加型評価は、スタッフや住民など、活動現場の当事者が評価に参加します。自分たちがやっているプロジェクトを自分たちで振り返り、現状を確認するとともに、どうすればもっと良くなるか「対話」を行ないます。うまくいっていることがわかれば、うれしくてさらに改善したいと思うし、逆にうまくいっていないことがわかれば、残念に感じるけど、なんとか「改善したい」という気持ちになり、その方法を考えるのが人情です。

「評価」には、①説明責任と②学びと改善、という2つの目的があるといわれています。専門家による従来型の評価は、客観的である長所があるので、プロジェクトにお金を出している人や組織(資金提供者)への説明責任が向いていると言われます。

一方、参加型評価は、上記のように当事者が活動を自ら振り返ることで教訓を学び、活動を改善していく、学びと改善を目的とした評価に適しています。また活動が良くなるだけなく、対話を通じて、組織内のコミュニケーションが促進されたり、関係者のモチベーションが向上したりする効果があり、結果、改善・成果につながるわけです。

日本でもひと昔前と比べて、NGO/NPOの活動が活発になり、社会での認知度もあがりました。しかしながら、活動を適切に評価して、説明責任を果たしたり、改善したりしていく点では、NGOの国際水準に比べ、日本のNGO/NPOはまだまだ劣っています。

私はファシリテーターとしてNGO/NPOなどが、参加型評価を行なう際にサポートをしています。日本の非営利活動や企業のCSR、ソーシャルビジネスなどの発展に貢献していきたいと願っています。
(次回は、参加型評価は実際どんな評価をするのか紹介します)

執筆者プロフィール

田中 博
田中 博
1963年生まれ。ネパールの農村開発等の活動をするNGO事務局長を経て、イギリスのサセックス大学国際開発研究所の大学院で参加型評価を学ぶ。現在、一般社団法人参加型評価センター代表理事。